<『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』 考察  オドロームは本当にのび太の夢だったのか?>






最近ドラえもんの映画を見直していまして
夢幻三剣士の世界設定に
改めて強烈な恐怖と違和感を感じました。

 

 

 

 

 

その違和感の正体について書いてみたいと思います。







まず『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』(以下夢幻三剣士)
のあらすじ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


夢の中では大活躍できるものの、現実では相変わらずなのび太 

 

 

 

 現実の世界に嫌気がさしたのび太は、ドラえもんの
秘密道具“気ままに夢見る機”を使い自分の好きな夢の中で
遊ぼうとするが、謎の老人(トリホー)の予言の後に、
夢カセット“夢幻三剣士”を入手する。

のび太は夢の中、“夢幻三剣士”の世界で妖霊大帝オドロームの侵略にさらされる
ユミルメ国を救う白銀の剣士となり、冒険が始まる。



というストーリー

題名、人物名などのモデルとなった
三銃士よりもトルーキン的なファンタジー世界での
英雄譚といった色の方が強い世界観です。





夢の中でのストーリーが進行していくなかで、緊張感とスリルを持って
冒険したいのび太はドラえもんの道具で安易にことを進める
ことを嫌い、さらには夢と現実を逆転させる気ままに夢見る機の
隠しボタンを押すことに…。

ただでさえ現実に影響を及ぼすことがあると注意書きがなされている
夢カセット「夢幻三剣士」の世界であるので、夢と現実が
ますます曖昧に展開して行きます。

これが伏線となり、ラストシーンで現実である筈の
小学校が、まるでミナス・ティリスのように高い山の上に
そびえ建っている…

という、まるでホラーオチの変形のようなシーンで
この映画は終わります

(この夢幻三剣士のラストシーンは諸説色々
ラストシーンも夢、あるいは冒頭の裏山の時点から
のび太の夢であり、「気ままに夢見る機」も夢の産物である。
という解釈も成り立つ)

…夢が現実に影響している… というオチ
(しずかちゃんにも誉めてもらえるし!)






さて、本題の『夢幻三剣士』の違和感と怖さの正体ですが
私はこのように解釈しています




パッと見ると、この映画の冒険は夢の世界が舞台で
不良品の夢カセット“夢幻三剣士”の暴走が原因に見えます。 

しかし、オドロームの部下トリホーは、のび太が
カセット“夢幻三剣士”を入手する前から現実の世界に干渉し、
のび太の手にカセットが渡るように画策しているのです。

この時点で、すでにただの夢カセットの暴走だけとは考え難いことがわかります

…さらに、妖霊大帝オドロームは自らが夢宇宙に存在する
ことを認識し、それ以外の世界、目覚めの世界が存在する
ことを知っています。

のび太が夢宇宙のユミルメ国へ招かれた
(あるいは引きずり込まれた)理由は、
トリホーがユミルメ国の予言に伝わる不死身の剣士を
弱体化させるために計画し、無能に見え、優しくて不死身になれない
のび太が選ばれたことが作中で語られているのです。

これらのことから推測できること、それは
「夢宇宙」が睡眠時に見る“夢”の世界ではないこと

オドロームが夢カセット“夢幻三剣士”のキャラクターではなく
カセット“夢幻三剣士”そのものがオドロームによって
のび太の世界へ送り込まれた策略の一手あること



つまり夢宇宙、「ユミルメ国」は、気ままに夢見る機の
夢カセットの中の架空の世界ではなく、
名前に反して、確実に存在する
もう一つの現実の異世界なのです。



そう、のび太は夢の中ではなく、
現実の、のび太達の世界と繋がった、
パラレルワールドでの戦争を戦ったのです。




“夢と信じていたものが実は現実だった”

これこそが違和感の正体であり、この映画の恐怖の根源なのです







…妖霊軍の用意周到さ、有能っぷりはすさまじいものがあります。
どうせ不死身の勇者が異世界から来るんだったら、弱っちい
奴が来るようにしちゃえばいいじゃん、てことでのび太を選び、
予想外にドラえもんの道具が活躍し、脅威になれば、情報を集め
原因を見つけ早急に解決しています。

のび太の抹殺に一度は成功していますし、歴代の敵のなかで
一番のび太一行を追い詰めたと言えるでしょう。



あのときママに(原作ではパパに)起こされて目覚めの世界に
戻ることができなければ、のび太は隠しスイッチの
押した押さない関係なく、夢宇宙でまさに悪夢のような死を迎える
ところだったのではないでしょうか。

よしんば普段の現実世界へ戻っても、ユミルメ国を
放置していたならば、夢宇宙から現実世界へ干渉する
ことができるオドロームはユミルメ国を
たいらげた後に、憂いを断つべく現実世界へ
侵攻したことでしょう。




異人来訪型のファンタジーとしては珍しく悪の陣営から召還された
のび太一行も、最終的には善の陣営、妖精シルクに再び召還され
夢宇宙に舞い戻り、異世界から現れる勇者の先例に漏れず、
悪に対してある意味無敵ですので、異様に強力で有能な悪の陣営と、
おぞましさ満点で、私が夜眠れないくらいビビる…(((( ;゚Д゚)))) 
妖霊大帝オドロームも滅ぼされてしまいます。



のび太達は最後までオドロームやユミルメ国を架空の存在と
考えていましたが、実際は夢宇宙と現実の世界、
二つの世界を救った真の英雄なのです。







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